みなさん、「厨子(ずし)」をご存知ですか?
「厨子」とは、遥か奈良時代から造られていた、大切な仏像や仏舎利・経典などを中に安置するための仏具の一つです。法隆寺に収められている「玉虫厨子」なんかは、聞いたことがあるのではないでしょうか。
先日、伝統建築学科の実習棟に、その大切な「厨子」がやって来ました。一緒に入っていた札には天保四年とあり、今から170年余り前、江戸時代のものだと推測されます。そんな貴重な物を、実習棟の近くにある「草刈神社」様より、実習の教材にと譲っていただきました。大変ありがたいことです。
さて、やって来たといってもその移す作業は想像以上の重労働。SADOの講師である川上棟梁をはじめ、川上工務店の大工さんにも手伝ってもらいながら、悪戦苦闘の末、何とか移すことが出来ました。
先人の残した宮大工としての技術の集合体である厨子。この生きた教材から、宮大工の伝統的な技法や造った方の想いなど、多くのことを学び取っていけるといいですね。